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第31回サーベイまでのまとめ

  

.第31回までの変動係数(CV)の推移  
1)酵素項目の標準化サーベイでの施設間の変動係数は第14回サーベイ以降、6項目とも
5以下を示し各項目とも標準化が浸透していることと考えられる。第31回サーベイにおいてはALT(CV=5.35%)、ALP(CV=5.27%)と施設間差が大きくなっている。またAMYは第20回サーベイから実施しているが標準液が未定であることから暫定的にIFCC法での値付けとなっている。変動係数は第31回サーベイではCV=15.06であった。
2)濃度項目は、TBILCV=8.41)、CRP(CV=5.48)、等が施設間差が比較的大きく標準化が浸透しづらい項目と考える。また、TGCV=2.29)、HDL−C(CV=3.32%)について、特にHDL−Cでは配布試料の改良を行なったことで施設間差も3.32とかなり測定結果の収束が可能となった。

2.目標値からの偏り値の推移
  酵素項目はALT、γGTPの項目で10%程度許容幅からのハズレが 観察される。他の項目についてはほぼ標準化が達成されている。濃度項目のKCLTGTBILUN、CRPの項目は、10%〜20%程度の施設が許容範囲をハズレており施設内の精度管理も合わせ測定の維持に努めてほしい。またGLUにおいてはハズレが見られる施設の割合が5%〜10%ほど観察されており、もう少しシビアな精度管理に努めて頂きたい。

3.酵素6項目のJSCC法への移行はドライケムを除いたウェット試薬を用いた施設はほぼ100%移行しているがLDの項目で2施設ほど従来法を採用している。

4.各項目の推移
1)ALTは第1回の標準化サーベイから目標値と各メーカーの平均値にズレが生じている。各メーカー別の集計では目標値からの平均値で大きな差が観察されるメーカーとそうでないメーカーがあるため全体的な平均値にズレが生じているようだ。

2)LDは第31回サーベイより全ての施設がJSCC法へ移行している。

3)ALPは第13回サーベイよりほぼ100の施設がJSCC法を採用している。

4)γGTは第31回のサーベイにおいては施設間の変動係数は3.19%であるが、目標値と比較し低値を示す施設が多く見られる。低値傾向を示す施設は検量用ERMで正確さの確認をお願いしたい。
5)HDL-Cは作成した試料の保存性に問題が生じたため第18回サーベイから評価の表示は中止していたが、第29回サーベイよりメーカー間差が小さい試料を開発し、専用試料として配布している。第31回のサーベイにおいては施設間差がCV=2.99%であった。
6)
UAHECTEFの標準液の表示値が変更され、従来より平均値が高値を示していたが、第23回サーベイより目標値と平均値の一致が見られる。
FeHECTEFの表示値が変更されてから平均値と目標値の一致率が高まっている。

5. 情報の開示は精度の向上につながる。
 施設名は公表することで参加している施設の測定値に対する意識が高まり、各施設の精度の向上につながっているものと考えている。今後も施設名は公表した報告形式で実施する。

6. サーベイ毎にバラツキのみられる施設があり、施設内精密度の維持をしっかりと
  精度管理の基本、Plan 計画)Do(実施)Check(確認)Action(処置)を常にお願いしたい。また、たまには標準物質の確認も行なってほしい、特に濃度項目においては、標準液で管理することでほとんど標準化への対応は可能であるため、管理血清の測定のみでなく、標準液の校正後の打ち返しで測定値の管理を行う必要があると考える。

7.施設内精度管理の実施を

 コントロール血清を測定されている施設は、必ずチャートの確認を行なってください。パターン化された図は理解が早く、日常の測定の良し悪しの判断が早めに確認できます。





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