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臨床検査標準化の意義

臨床検査は医学的診断ならびに経過観察に不可欠のものであり、その最終目的は、主治医を介して患者の医療ならびに人の健康維持に役立てることである。
いつ、どこで、誰が行っても、同一の患者について同じ医学的判断を下すことができることが理想である。
検査結果の互換性が改善されると医学的意志決定の上で誤診が減り、複数の医療機関を訪れた場合の繰り返し検査も激減し、さまざまな医学分野での全国的な比較研究が飛躍的に発展するだろう。

河合 忠 1994:臨床化学vol.23supp.1


標準化の目的

臨床検査の標準化は、ある規格を強制することには自ずと限界があり、また現実的でなく、ある程度の選択の幅、flexibilityを持ったものでなければならない。
臨床検査の標準化とは、「専門家や専門集団からの合意内容および専門的情報を日常検査室に反映させること」と理解することが、きわめて現実的な考え方である。そして、全ての日常検査担当者が、出来る限り謙虚にそれらの合意内容、consensusに従うよう努力することが標準化にとって不可欠である。
コンセンサスについて
常に理想的なコンセンサスが得られるとは限らないので、途中経過に暫定的なコンセンサスを作り、proposalを提示することも、将来の完全なコンセンサスに到達するために重要である。

河合 忠 1994:臨床化学vol.23supp.1


標準化の目的・・JCCLSについて
JCCLS : 日本臨床検査標準協議会
Japanese Committee for Clinical Laboratory Standards : 1985

国内、国際学会などにおける標準化の情報を収集し、速やかに会員に広報し、さらに必要に応じて専門家よりなる委員会に標準法の検討を依頼し、日常医療及び行政のなかに、その成果を活かしてゆく。
医療機関によって検査項目の測定結果が異なることは測定原理が異なれば当然のごとく捉えられてきていた。しかし患者さんが複数の医療機関に受信した場合、繰り返し検査に伴う医療費の無駄や診断の食い違いで多くの負担を強いられることになる。このような施設間差をなくし無駄を少なくするために1989年の酵素5項目を皮切りに勧告法を提示してきた。


くまもと県標準化事業の目的

☆病診連携・病病連携に伴う検査データの共有化へ対応
☆カルテ開示・電子カルテ化などデータベースへの対応
  これからの検査データは いつでもどこでも測定された結果は共有化が絶対条件となる。

☆標準化事業においては
  標準化を推進し、共通の基準範囲の普及に努め、臨床医の間で共通の診断基準や治療基準の提案を容易にする。
☆問題点があれば、検討し、内容・方法を改善する。
☆各施設では施設内精度の向上の再点検と精度の維持を。


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